事業承継に必要な第3の視点 No,055

2024年6月11日

おはようございます。
神道研究家の藤原美津子です。

6月に入りました。梅雨入りの前、
事務所のある小田原でも
あじさいが咲き始めました。

自然豊かな中で生活していると
四季の変化を肌で感 じられます。
私が東京で暮らしていたときにはない
変化です。

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■今日の道しるべ
 事業承継に必要な第3の視点

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前号では「事業承継に必要な
2つの視点」でした。

前回のメルマガ
https://taishijyuku.jp/blog/back-number/20240515/
今回は、第3の視点について
お届けします。

事業承継は、
当然ながら譲る側と譲られる側が
あって成り立ちます。

そしてそこには譲る側と譲られる側、
つまり先代と後継者、両者の
2つの視点があります。

加えて第3の視点とは、先々代の目、
あるいは第3者の目のことです。

ある老舗の100年企業を経営する
クライアントは、子供が幼稚園の時、
小学低学年の時から

「お前が会社の後を継ぐのだよ」
と伝えて育てているそうです。

また別のある会社経営者は、
小学校のころから、
休みの日、お祖父さんに手を引かれて
工場の見回りに行き

「この会社は、
お前がいずれ後を継ぐのだから
休みの時には、オレと一緒に見回って
会社を守るんだ。」

と言われながら育ったそうです。

さらに別の経営者は、お祖母さんから
「お父さんの会社は、
いずれ○○ちゃんが継ぐのよ。」
とことある毎に伝えてられたそうです。

これらの話の共通点は、
先代から後継者ではなく
先々代から、後継者(候補)に
伝えている点です。

一般に「会社は、
3代続けば、会社は繋がる」
といわれています。

3代継続できる理由の1つには、
先々代からの第3の視点があるから
という点ではないか
と私は考えています。

なぜならば先々代は、
会社を受け継ぎ、責任ある立場として
人が育つのに時間がかかることを
知っているからです。

そして残念ながら年齢と共に、
人の身体が変化していくことも
ご自身の身体で知っています。

だから早い時期に、
「次を決めておく」。

リレーで言えば、バトンを渡すことを
先々代は現役社長よりも、
冷静に考えられます。

重要な役目を、
先々代が孫に託すことは、
神の世界でも行っています。

「天孫降臨」という神話を
ご存知でしょうか?

「天」照大御神様の「孫」である
ニニギノミコト様が、
地上に「降臨」する時のお話です。

ニニギノミコト様は、
天照大御神様から
三種の神器の一つである
ヤタノカガミを授かり
教えと共に地上に降りていきます。

そして立派に地上でのお役目を
果たされました。

神話の話は、こうして読むと
事業承継のヒントとしても
活かすことが出来ます。

しかし創業者の方が、
2代目に託すときには
そのままでは「第3の視点」は
ありません。

ではどうやって「第3の視点」
を得たら良いでしょうか?

それは、ご自身が尊敬される方
いわゆるメンター
といわれる方を持ち、

意見を聞いて、意図的に第3の視点
を得ておくことです。

私も、親子の確執や、
時には断絶などのお悩みや、

事業承継の際の精神面でのご相談
をお受けするとき

第3の視点からアドバイスを
させて頂くことがあります。

事業承継の当人同士だと、
感情的になって決裂寸前
という状態でも

「会社を守るのが大事か、
あなたのメンツを守るのが大事か」
と第三者の視点から質問を
投げかけます。

その答えを選んで頂く事で、
後継者としての自覚が
生まれたりします。

親子だとどうしても、
甘えや生々しい感情があって、

時に冷静なビジネスの判断を
狂わせることもあります。

創業者の方は、ぜひよい第3の視点を
お持ちになって下さい。

きっとあなたの大切な宝を
守る力になります。